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Diary and Column
by ko1kubota
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2014年 01月 25日

松尾一志さんのPV公開

僕が撮影させて頂いた、フォークロックシンガーの松尾一志さんの新曲『おめめこらせば〜人生は50歳から〜』のプロモーションビデオが公開された。



一昨年の11月のライブを撮影させた頂いた時、レコーディング中のアルバムに収録予定の曲としてこの曲を聴き、同世代として非常に励まされたと同時に、自虐的でペーソス溢れる詞の内容を徹底的にロックな曲に乗せているのがカッコ良いと思い、この曲のPVを撮りたいと思った。

しかし、体調、体力的な問題からライブ撮影も大幅に制限している状況で果たしてPVの撮影なんて出来るだろうか?という不安もあったし、何よりPVはおろかまともな映像作品を撮った事もない自分にまともなPVなんて撮れるだろうか?という疑問もあった。

1ヶ月程その気持ちを抱えたまま燻らせていたが、とにかく撮れるかどうかチャレンジしてみよう。それでもし駄目だったら、その時は土下座でもしてお詫びするしかないと気持ちを決めて松尾さんに撮影を申し込み、急遽昨年の1月5日のライブでライブシーンを撮影。その後何度か都内でロケハンしてロケ地を探し、3月に豊洲、勝鬨でロケシーンを撮影した。

歌詞の内容的にはユーモアやペーソスのある曲だが、最初からとにかくカッコ良いPVを撮りたいと思っていた。それは素人が下手にコメディに手を出すとろくな事にはならないという思いもあったのだが、やはり何と言っても僕がこの曲をカッコ良いと思った気持ちをそのまま出したかったからだ。

自分の中ではPVと言えば、80年代から90年代にかけて、MTV等で観ていたPVのイメージが強いので、今風のPVではなくアナクロで古臭く感じられるかもしれないが、そのイメージで撮影した。

ライブ撮影はともかく、ロケでの撮影は経験がなく、試行錯誤の連続で寒い中松尾さんにもかなり多くのテイクに付き合ってもらいご迷惑をおかけしたが、何とか初めて撮影したPVとしては及第点のものが出来たのではないかと思う。

ただ、その一方で先行して撮影したライブシーンを先行して編集作業している内に、そのライブシーンの松尾さんがかなりカッコ良いので、一部しか使用しないのは勿体なく思えて来て、ライブシーンだけでもかなりカッコ良いPVになるのではないか?と思えて来たので、松尾さんと相談して、エクストラバージョンとしてライブシーンのみのバージョンも作る事にした。



また、1曲だけでは寂しいのでもう1曲くらい撮りたいという事になり、それは『おめめこらせば〜』とは趣の違うPVにしたいと思い、アルバム収録曲の中から、やはりライブで聴いて印象に残っていた『せーので捨てちゃえ!』を選択した。

この曲は「文明なんてせーので捨てちゃえば、スッキリして良い」という文明批判というか、文明とか人間としての生き方をもう一度考え直してはどうかという問題提起の歌と僕は解釈した。曲が出来たのは3.11の東日本大震災の前だという事だったが、震災後に発表するとなると震災の事は意識せざるを得ないし、文明を捨てるという事は、その文明を支えている電力を捨てるという事になるだろうから、文明の象徴として原発をバックに歌っているPVにしようと考えた。

3月にレンタカーを借りて福島と茨城にロケハンに行った。福島第一原発は無理でも、せめて福島第二原発を遠方からでも撮れる様な場所はないだろうか?という淡い期待を持ってのロケハンだったが、そんな場所が簡単に見つかる訳もなく、早々に断念して本命のロケ候補地、東海第二原発に向かい、そこをロケ地に決定して6月にロケ撮影を行った。

コンセプト的にラストカットを青空で終えたかったので、晴れの日にロケを行わないと意味がないという事で、天気予報と僕と松尾さんのスケジュールを照らし合わせながら、ロケ予定日を検討していたが、なかなかそれが上手く一致しないまま梅雨入り宣言が出てしまい、これは梅雨明けまでロケは延期だと思っていた所、梅雨入りしたとは思えない天気が続き、僕と松尾さんの休みの合う日の予報も晴れだった為、急遽6月初旬にロケを敢行して、非常に気持ち良い快晴の元で撮影が終了した。



東海第二原発のある海岸は海も砂浜も非常に綺麗で、素晴らしいロケーションだった。

ところが、今度はその美しいロケーションで撮影した映像を編集していると、ラストカットの青空のみカラーでほぼ全編モノクロというコンセプトが勿体なく思えて来た。

結局、これも松尾さんと相談して、折角なのでオールカラーのエクストラバージョンも作る事になった。最終的に2曲とも公式バージョンとエクストラバージョンの2バージョンづつ製作し、同時公開する事になった。



この2曲が収録された松尾一志さんの4thアルバム『おめめこらせば〜50歳になった僕より〜』アマゾンの通販で発売中です。

また、iTunes StoreアマゾンMP3ストアでデータ配信も行っています。今の所データ配信はシングル2曲のみですが、いずれアルバムも配信されると思います。

松尾一志公式サイト:http://www1.m.jcnnet.jp/rocking_pine99/
4thアルバム 『おめめこらせば~50歳になった僕より~』発売中
CD販売   Amazon      http://goo.gl/QVzfYy 
DETA配信 iTunes Store    http://goo.gl/HbMfoH 
      AmazonMP3ストア http://goo.gl/6OucJ8
# by ko1kubota | 2014-01-25 23:32 | Live Photo
2013年 12月 22日

松尾一志 クリスマスライブ@千葉 瑞庵II

今日は久しぶりにフォークロックシンガーの松尾一志さんのライブを撮影させて頂いた。

松尾一志 クリスマスライブ@千葉 瑞庵II_c0000587_23504464.jpg


ちょうど昨年の11月に数年降りに松尾さんのライブを撮影させて頂いたのだが、その時現在レコーディング中という4枚目のアルバムに収録予定の新曲として「おめめこらせば〜人生は50歳から〜」を聴かせて頂き、その曲のプロモーションビデオを撮りたいと思い、松尾さんに提案して、忙しくてこのブログに書く事は出来なかったのだが、今年の1月のライブでライブシーンを撮影、1月から3月にかけて都内でロケハンしてロケ地を探し、3月にロケシーンを撮影。またもう1曲「せーので捨てちゃえ!」のPVも撮らせて頂く事になったので、やはり3月に福島と茨城でロケハンし、ロケ地を茨城に決定し、6月に茨城にロケして撮影していた。

当初は松尾さんのCD発売が今年の春の予定という事だったので、それに合わせてPVも公開する予定で編集作業を進めていたのだが、結局レコーディングが延びに延びて今回のライブでCDが発売される事になり、通販の準備が出来ていないのでPVの公開はまだ先になるのだが、ライブ会場でPVもお披露目させて頂く事になった。

PVのお披露目は概ね好評でホッとした。本来PVの目的は松尾さんを知らない人に松尾さんのCDを買う気になってもらう為のものであり、ファンの人達に好評だとしても喜んではいられないとは思うのだが、それでも嬉しかった。ファンの人がPVを表示しているモニターを写メに撮っているのを見て、何もそんなものを撮らなくても‥と思ったのだが、写メに撮りたいと思って貰える様なPVが撮れたという事なんだろうと思うと、正直嬉しかった。

松尾一志 クリスマスライブ@千葉 瑞庵II_c0000587_23584640.jpg

松尾一志 クリスマスライブ@千葉 瑞庵II_c0000587_2359415.jpg


また、今回のライブでは、ライブ撮影を始めた頃からの念願だった、シャッター音のしないデジタル一眼であるLUMIX G5を入手したので、久々にビデオだけでなくスチールの撮影も行った。

本当は同じ電子シャッターモードのあるLUMIX GH3が欲しかったのだが、年末に向けて色々と買い物をして散財してしまったのと、GH3を買ってしまうと今回の様にビデオも写真も撮る場合、GH3をビデオ撮影に使いたいと思ってしまいそうなので、写真専用と割り切るならG5の方が良いだろうと思ったのだ。

ただ、G5の方が今回ビデオ撮影に使用したGH2より新しいモデルという事もあり、ビデオ撮影機能でもGH2より優秀ではあるのだが‥

今回はビデオ撮影用のGH2には純正の14-140mm F4.0-5.8を使用し、写真用のG5にはマウントアダプターを使用してオリンパスのフォーサーズレンズ、14-54mm F2.8-3.5と同じくシグマのフォーサーズレンズ、50mm F1.4、そしてAFの比較と電動ズームの試用を兼ねて純正の12-42mm F3.5-5.6を使用した。

その結果、マウントアダプター経由のフォーサーズレンズ2本も純正レンズに比べて、AFの速度、精度共に遜色無い事を確認出来たし、最近はGH2と14-140mmの組み合わせで撮影したビデオから、静止画を書き出して、このブログで使用する事も多かったが、やはりレンズのF値が明るい分、背景のボケが大きいより写真らしい写真が撮れる事を改めて再確認した。

ビデオ撮影の場合、レンズ交換が難しい事もあって、10倍ズームの利便性に頼ってしまいがちなのだが、今後はビデオ撮影でもより明るいレンズの使用にもチャレンジしたいと思う。

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松尾一志 クリスマスライブ@千葉 瑞庵II_c0000587_0514419.jpg


今回のライブは今回のライブで発売となった4枚目のアルバムの曲を中心に、松尾さん自身の楽曲解説付でのライブとなった。

前作のサードアルバムから、8年越しのニューアルバムとなったという事だが、その8年間の松尾さんの様々な思いが込められた重みのある曲ばかりの非常に力のこもったアルバムになっていると思う。

思えば僕が松尾さんと知り合ったのは、ちょうど9年前であり、翌年に初めて行ったライブがそのサードアルバムのレコ発ライブだったと思う。その後、松尾さんと会っていない期間もあったが、それからの8年間が決して順風満帆なものではなかった事は、何となく察する事が出来る。

そのサードアルバムには「人生は40歳から」という曲が収録されていたが、それは40歳を迎えた松尾さん自身がまだまだこれからも頑張って行こうという決意を現した曲だったと思う。

しかし、インディーズのソロシンガーが、40歳を超えて音楽活動を続けて行く事は決して容易な事ではないだろう。その10年間の頑張りと苦労が「おめめこらせば〜人生は50歳から〜」に込められていると思うし、何よりその決意通り音楽活動を続けて来て、この曲のリリースに至ったこと自体が素晴らしい事だと思う。

だからこそ、僕はこの曲のPVを撮りたいと思ったのだし、このPVが少しでも松尾さんのニューアルバムのセールスに貢献出来ればいいと願わずにはいられない。

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# by ko1kubota | 2013-12-22 23:43 | Live Photo
2012年 12月 09日

三日月バビロン『over the citylight,under the MOON ~月あかりの空庭~』

今日は三日月バビロンの新作公演『over the citylight,under the MOON ~月あかりの空庭~』の千秋楽だった。

前作『ヒューリスティック・ポケット ~懐カシイ夜天ノ果テ~』のパンフレットでは次回公演から過去作品の連続再演企画がスタートするという案内が掲載されていたが、予定が変更された様で実際には新作公演となった。

僕は前作に関して勝手に今までの三日月作品に決着を付けた様な作品と捉えており、だから、その作品で一区切り付けて過去作品の再演企画シリーズに入るというのは納得出来る話だと感じていた。

現在、三日月バビロンは常連の客演陣も含めて、これまでで最もキャスト陣が充実していると感じているし、 作・演出の櫻木バビさんも、近作では非常に作品の幅を広げて高い普遍性を獲得したと思っている。

つまり、作家、劇団共に大きく成長し充実した状態にあると言えると思う。その充実した状態で、過去作品を単なる再演ではなく、現在のレベルの高いキャスト、作・演出家として当時より大きく成長した櫻木バビさんの手で、大きくリメイクしてより完成度の高い作品として生まれ変わったものを観せてくれるのではないかと期待していたのである。

どんな事情かは分からないが、その再演企画を延期してその前にもう1作、新作を作るとすれば、その新作は一体どんなものになるのか?それが今回の公演の最大の興味だったと言っていいだろう。

櫻木バビさんの事だから、予定していた方向に舵 を取る事まで延期はしないだろうというのが僕の予想だった。おそらくは再演企画で予定していた方向性を新作で先取りした様な内容になるのではないか?と思ったのだが、その予想は外れていなかったと思う。

近作、特に『トロイメライ』以後の作品では、どちらかというと多くの人が共感出来る様な内容という事を意識した作品が多かったと思う。しかし、今作では一転して児童虐待という多くの人にとって共感する事は難しいと思われる内容を扱っている。そのシビアで重い内容は、三日月の初期作品群を彷彿とさせるものである。

しかし、それと同時に全体の方向性というか、雰囲気、あるいは語り口といった様なものは近作の方向性を踏襲したもの、というよりそれを更に押し進めたものである と言える。櫻木さんはここ何作かで獲得した普遍性を武器に一般的には共感され難い、あるいはタブー視されかねない内容の作品をより多くの人に理解して貰える様な形で提示する事に挑んでいるのだと思う。

ロック・シンガーの佐野元春がNHK-Eテレでホストを務めている番組『ザ・ソングライターズ』にシンガーソングライターの星野 源が出演した時に彼が「共感なんかされたくない」と言い放ち、「共感よりもっといいもの」を目指していると語った時、僕は凄く感銘を受けた。佐野元春はそれを「リスナーの想像力に期待したいという事ですね。」と受け止めた。

櫻木さんが目指しているのもそういう事なのではないかと思う。児童虐待というのは重大な問題だが、その問題の解決を難しくしているのは、それが密室で起こる事であり第三者の介入が難しい事でありながら、当事者による解決がほぼ不可能と言える位難しいという事にある。

だから、どんなに介入が難しいとは言っても、第三者が介入しない事には問題は解決しないのだが、その為には第三者がこの問題の本質を理解する必要があり、特に何故当事者による解決がほぼ不可能 なのかという事を理解しなければ何も始まらない。

これはいじめ問題にも同じ事が言える。よく、いじめに対して「本人が弱いからだ。」「いじめなんかに負けるな。いじめに立ち向かって行け。」という様な事を言う人がいる。それは、そういう事をいう人がいじめを体験した事がなく、いじめというものを知らないからこそ言えるのだと思う。逆にいじめというものがどういうものか理解している人は「辛かったら逃げても良いんだよ。」と言う。

それが1番大事な事なのだ。いじめや虐待を受けている当人は、その事でいわれのない罪悪感を抱きがちで、時としていじめや虐待を受けるのは自分が悪いからだという間違った心理状態に陥る事がある。そして、逃げる事を罪悪と捉えていじめや虐待に 立ち向かった結果、自分自身を追いつめ逃げ場を失って自殺という最悪の事態を招いてしまう事が起きる。

少なくともそういう最悪な事態を避ける為には、周囲の第三者の正しい理解というものが必要になる。実際にいじめや虐待を受けた経験のある人の絶対数は多いとは言えないだろう。いじめや虐待を受けている人の周辺に、同じ様な経験を持ち共感によってその人の立場を理解出来る人がいる確率は高くはない筈だ。

だから、いじめや虐待を受けた経験のない人にも、その事を理解して、もし、その人の周辺にいじめや虐待を受けている人がいたら、その人が発するSOSに気付き、救いの手を差し伸べる事が可能となる様な環境づくり、問題の周知や対応に関する教育というものが必要だと言える。

本来はそれは行政とか教育が成すべきだと思うが、実際にはそうなっていないのが実情であり、櫻木さんの様な作家やアーティストがその役割を担って行くしかないというのが現状だと言えると思う。

劇中で、その問題の本質を理解出来ない役所職員の発言に対し、主演の美月が琴子に「その人は幸せな人なんだよ。あ、嫌味とかじゃなくて…」と言う。確かに幸せな人には不幸な人の心情には共感出来ないだろう。それがこの問題の難しい所なのだ。

しかし、人間には他人の気持を想像して慮るという能力がある。櫻木さんは、その人間の能力を信じ、そして、三日月の作品を愛し、劇場に足を運んでくれる観客なら、きっと理解してくれると信じてこの作品を作ったのではないかと思う。

そして、その重いテーマを演じ切るには役者にも高い力量が必要とされる。もはや押しも押されもせぬ三日月の看板女優、木原春菜さんも、前作で遂にヒロインの座を手に入れ、今作でも堂々とヒロインを演じた今夢子さんも、難しい役所を見事にこなしていたと思う。

特に木原さんの力量に関しては、最早疑う余地はない所だが、どちらかと言うと元気一杯で無邪気な役が多かった彼女だが、今作でも本質的にはそういうタイプのキャラクターでありながら、今さん演じる鈴を案じて自分を抑えてしっとりと優しく鈴と接するというかなり複雑で難しい役をそうとは感じさせない程こともなげに演じてみせていたと思う。対する今さんも今にも消え入りそうで儚く、でも気丈に振る舞う鈴を見事に演じていたと思う。

この二人が紡ぎ出していた空気感。この二人が作り出していた優しさに満ちた空間が、観客にこのシビアな内容の舞台から目を背けず見届けさせる役割を果たしていたのだと思う。この二人がいたからこそ、作る事が出来た作品だと感じたし、この二人が今の三日月の二本柱として定着した事で櫻木さんも期が熟したと判断して今作を書き上げる事が出来たのではないかと思う。

一方で、シビアな現実サイドに対し、ファンタジーサイドではお馴染みの客演の榎本淳さんと梅原真実さんがベテランならではの息のあった演技で、ともすれば暗くなりがちな重いテーマの舞台にひと時の笑いを提供してくれていたが、そのベテランに混じってシビアな作品に和やかな雰囲気を加える事に一役買っていた由林さんは、以前よりその独特な存在感を発揮してい たが、今作では今まで以上にその個性を発揮して強い印象を残し、最早三日月の舞台に欠かせない存在になったと感じた。

また、その両方の世界を行き来し、橋渡し的な役割を果たしていたのが深澤寿美子さんである。深澤さんは三日月の舞台に初登場した時から、卓越した演技力を見せてくれていたが、回を重ねる毎に重要な役所を任せられる様になり、今作では過去作品では梅原さんやかやべせいこさんが演じていた様な役所を演じている。

深澤さんがそういう役回りを演じる事が出来た事で、梅原さんは中心的な役所から一歩引いて、メインキャストではないものの、梅原さん以外にはちょっと出来ないだろうと思える様な難しい役を演じる事が出来たと言えるのではないかと思う。

その深澤 さんの演技で特に印象に残った演技があった。物語後半、美月と鈴の消息に関する会話をした後去って行く間際、舞台袖でふと空を仰ぎ見た演技だ。櫻木さんの芝居にはその様なさりげない演出が随所に見られるのだが、その仰ぎ見る仕草があまりに自然で演技とは思えない程さりげなかったので、僕はついその視線の先を追ってしまった。勿論、そこにはただ天井桟敷があるだけだ。

その時僕は深澤さんの演技をまるで梅原さんの様だと感じた。そして、そろそろ深澤さんが主役に近い役を演じる所も見てみたいと思った。

もしかすると、その望みは遠からず叶うかもしれない。次回から始まる再演企画シリーズの中で、過去に梅原さんが演じた主役級の役を深澤さんが演じるという事があるのではない かという予感がするのである。

今作は三日月が更なる高みを目指して新たな一歩を踏み出した作品だと言えると思う。そして、次回から始まる再演企画のシリーズに益々期待させられる内容になっていたと思う。その時点では最高だと感じさせられた名作群が、更にスケールアップして生まれ変わり驚かされる事になるに違いないと思う。今からその時が楽しみでならない。
# by ko1kubota | 2012-12-09 22:23 | Artist