lente.ライブパフォーマンス@横浜ダンスコレクションR2010 |

当初、撮影する予定はなかったのだが、先日のコンペティションの後、lente.として出演する事を知り、休日だし観に行こうと思い、折角行くのなら撮影もさせていただく事にした。
荒枝さんは「照明もなく、ただ踊るだけですよ」と言っていたし、会場の2階スペースも7日に行った時に少し見て来たのだが、コンペティション出演者の過去の作品の写真やビデオを展示していたスペースだったので、その一角で普通の場内照明の元でパフォーマンスを見せるだけだと思い、撮影はそのパフォーマンスの雰囲気を数枚撮る位の軽い気持ちで出かけた。


荒枝さんは14時半からのlente.の出演の前に12時からは、木野彩子さんの企画によるインプロセッションにも出演されたのだが、こちらは純粋に観客として見させて頂いた。(動画1、動画2)
インプロセッションは当初赤レンガ倉庫前のイベント広場で行われる筈だったが、寒さと強風の為、イベント広場でスタートして直ぐに屋内に移動して、1階から2階のイベントスペースへと、観客を導いていった。
木野彩子さんは指揮役に徹し、余りメインでは踊らなかったが、手足が長く、手足の動きが凄く大きく見えるダンサーで、大勢の中での僅かなパフォーマンスでも観客を引きつける力のあるダンサーだと感じた。
また、荒枝さんもタイプは違うが、やはり大勢のパフォーマーの中でも、目を引かれる強い個性を持ったダンサーである事を再認識させられた。
動きが大きく見え、ダイナミックな木野さんとは違い、軽やかでしなやかな印象だった。自分の作品やlente.でのパフォーマンスとはちょっと印象が違い、新鮮な感じがした。



そして、いよいよlente.の出演が迫って来たのだが、木野さん企画のインプロセッションの様に、普通のフロアで行われるのかと思ったら、フロアの一角の結構広いスペースが仕切られて完全に真っ暗になる様になっており、観客席も並べられ、照明や音響も設置された簡易ホール状態になっていて、当初抱いてた気楽なイメージとは全然異なり、本気で撮影する事となった。
今回のlente.のパフォーマンンスは、前回の神楽坂 die pratzeのダンスがみたい!新人シリーズ8の時のパフォーマンスに比べると、結構あっさりとした印象だった。(と言うより、前回のパフォーマンスが尋常でなく濃密だったと言った方がいいだろう)
それは、今回はエキシビジョン的イベントである事や、本日は木野さんのインプロセッションへの出演もあった事も影響しているのかもしれない。
でも、僕は今回のややあっさりしたパフォーマンスも良かったと思う。即興ユニットだけにその日の状況によってパフォーマンスに違いが生じるのはむしろ面白いし、いつも同じよりもバリエーションの幅があった方が良いと思う。



パフォーマンス終了後、荒枝さん、柳本さんとお茶をする事になり(僕はビールを注文したけど(^^;))、いつになく色々とお話しさせて頂く事が出来、楽しいひとときを過ごさせて頂いた。
そのお話の中で、荒枝さんは「動かない時に他のダンサーにない魅力がある」という話になって、荒枝さんは「ダンサーとしては嬉しくない!」と仰っていたが、動かない時にも観客の目を引きつけるダンサーというのは、動いたらもう観客の目を釘付けにする最強のダンサーだと思う。
最近文庫化されたまんが家、萩尾望都さんのエッセイ集「思い出をきりぬくとき」にミハイル・バリシニコフの日本公演(エッセイが書かれたのは1986年)を夢の遊眠社(当時)の上杉祥三さんと観に行った時に、バリシニコフを見るのは初めてという上杉さんが、1幕目の幕が開いて、まだ出演者が立っているだけの段階で、誰がバリシニコフかを言い当てたというエピソードが載っていたが、やはり優れたダンサーというのは、そのようにただ立っているだけでも、他のダンサーとは違うオーラを発しているものなのだと思う。
今日は木野さんのインプロセッションでもいつもと少し印象の違う荒枝さんを観る事が出来たが、荒枝さんはまだまだ多くの可能性があると思うので、もっと色々な事に挑戦して表現の幅を広げていって欲しいと思った。


EDASHISU 荒枝志津 Shizu Araki Blog : http://blog.goo.ne.jp/shizuaraki/
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