2010年 07月 31日
荒枝志津『Dear』@神楽坂die pratze |
今日は荒枝志津さんの新作公演『Dear』の撮影だった。神楽坂die pratzeのダンスがみたい!12参加公演だ。


今回はゲネプロに加えて本番も撮影する事になった。神楽坂die pratzeで本番を撮影するのは初めてだ。荒木さんの公演では、過去にFZ50で本番を撮影した事もあるが、代沢東地区会館でのlente.のパフォーマンスではうまくいったが、横浜ダンスコレクションの撮影では照明が暗過ぎてFZ50では歯が立たなかった。
今回の神楽坂die pratzeでも過去の公演からおそらくFZ50では厳しいと判断。EOS Kiss Fと防音ケース代わりにエポックワールド製水中ハウジングの組み合わせで撮影する事にした。



ゲネプロの撮影はメインカメラのEOS 7Dとキヤノン純正のEOS-1Dシリーズ用防音防寒ケースの組み合わせで撮影。今回の荒枝さんの踊りはいつもよりスピードが速く、7Dの高速連写が大活躍してくれた。
しかし、やはり照明は暗くISO感度はISO6400を多用し、最も暗いシーンでは最高感度のISO12800まで使用する事になった。
それに対し、本番の撮影に使用するEOS Kiss Fの最高感度はISO1600でしかない。7Dとは実に3段分の開きがある。これでは普通に撮影したら充分なシャッタースピードを稼ぐ事は難しい。
悩んだ末、後処理で露出アンダーを補正する前提で、露出は犠牲にしてシャッタースピードを優先して撮る事に決める。シャッタースピード優先AEでは絞りを絞り込んでしまう恐れがあるので、少しでも明るく撮る為に、マニュアル露出で絞りは開放、シャッタースピードは1/100に固定する事にした。
今回の作品はいつもより踊りのスピードが速いので、本当はもう少しシャッタースピードを速くしたい所だが、それではあまりに露出がアンダーになり過ぎて後処理しても仕上がりが汚くなってしまう恐れが高いのでギリギリの妥協点を探っての選択だ。


ところが、ゲネプロ撮影前、本番用カメラもテストしておこうとした時、もうひとつの問題が発生した。水中ハウジングはギアを介してズームレンズのズームリングを操作する事が可能なのだが、そのギアを駆動するパーツが壊れてズームリングを操作出来なくなってしまったのだ。
壊れたパーツを確認すると、プラスチック製のギアに金属製の軸がはめ込まれているだけでネジ止め等はされておらず、プラスチック製のギアの軸受けの部分が削れて軸が空転してしまう様になっていた。エポックワールド製水中ハウジングはデジタル一眼レフ用水中ハウジングとしては異例に安価だった為に、思い切って防音ケース代わりにしようとKiss F本体と一緒に購入に踏み切ったのだが、たった3回目の撮影で壊れてしまうとは余りにショックだった。
安価とは言え、他の部分の作りに特に問題は感じず、とてもよく出来ているし、防音効果も高く満足していただけに該当部品は是非改善して欲しいと思う。
これで、レンズは固定焦点で撮影するしかなくなってしまった。こんな事なら明るい単焦点レンズを持って来ていれば、もっと露出的に楽だったのにと後悔したが後の祭り。ゲネプロ後のリハーサル等を利用して、ベストな焦点距離を探り38mm付近に決定した。
ただし、ズームで画角を調整出来ない為、ステージの奥の方と手前とでは、縦位置と横位置を切り替えて撮影するという前提での設定だ。Kiss Fは小型軽量の為、水中ハウジングもデジタル一眼用としてはかなり小型軽量に作られているが、それでもカメラ、レンズを水中ハウジングにセットした時の総重量は4Kgを越える。
その為、過去2回のAryukueでの撮影に使用した時は、三脚に立てて撮影したし、今回もそのつもりだった。しかし、Aryukueの撮影の時はズームが使えた事もあり基本的には横位置だけで撮影したのだが、今回は横位置と縦位置を切り替えなければならない。
ゲネプロ後の時間を使って、Kiss F+水中ハウジングを三脚に立て、横位置と縦位置を切り替える練習をしてみたが、流石に大きく重い為にとてもスムーズにはいかない。踊りのテンポが速いのでスピーディに横位置縦位置を切り替える必要があるが、とても追いつかないだろうと判断し、結局手持ちで撮影する事にした。
流石に翌日腕と肩が筋肉痛にはなったがなんとか撮影はうまくいき、Kiss Fと水中ハウジングを使いこなせるという自信にもなった。
今は7Dと同等の高感度特性を持つEOS Kiss X4も発売されていて、Kiss Fとほぼ同じサイズなので、水中ハウジングが流用出来ないか?と淡い期待もしているが、おそらくそれは無理だし、まだたった3回しか使用していないのに水中ハウジング毎買い替えるのも辛いので、当分はKiss Fで使っていくしかない事を考えると、明るい単焦点レンズで高感度の弱さをカバーするというのが現実的なので、固定焦点での撮影を余儀なくされた今回の撮影は良い経験になったと思う。


荒枝さんの作品は、これまで何回か書いた様に今までより踊りのスピードが速くなっているが、単にそれだけでなく、従来の作品とは異なった方向性を目指した意欲作だと思う。ある意味、荒枝さん本来の強み、魅力といった物を封印し、それに頼らず正攻法の踊りに挑戦したとも言えるし、正攻法の踊りを指向しながら、その中で荒枝さんらしい表現、荒枝さんらしい個性をどれだけ出せるかという挑戦であったのかも知れないと思う。
公演後のトークショーでは、今までの作品と異なり荒枝さんが楽しそうに踊っているのが新鮮だったという観客の声も聞かれたし、撮影した写真を見ても荒枝さんが非常に楽しそうな表情をしている様に見える。そういう意味では、今回の作品では荒枝さんの新たな魅力が見れたと思うし、新たな挑戦は成功したと言えると思う。
ただ、そこに今回は封印されていた様にも感じた本来の荒枝さんの魅力がプラスされていたらもっと良かったのではないかと思う。もっとも、全ての作品が同じである必要はないし、様々な方向性に挑んで表現力の幅を広げていき、また再び従来の方向性に近い作品を手がけた時に、その経験が生かされるのではないかと思うので、今後の荒枝さんの作品がどの様に変化して、どの様な方向に向かっていくのか楽しみにしていたいと思う。



荒枝志津 official site:http://sewingmachine.jp/


今回はゲネプロに加えて本番も撮影する事になった。神楽坂die pratzeで本番を撮影するのは初めてだ。荒木さんの公演では、過去にFZ50で本番を撮影した事もあるが、代沢東地区会館でのlente.のパフォーマンスではうまくいったが、横浜ダンスコレクションの撮影では照明が暗過ぎてFZ50では歯が立たなかった。
今回の神楽坂die pratzeでも過去の公演からおそらくFZ50では厳しいと判断。EOS Kiss Fと防音ケース代わりにエポックワールド製水中ハウジングの組み合わせで撮影する事にした。



ゲネプロの撮影はメインカメラのEOS 7Dとキヤノン純正のEOS-1Dシリーズ用防音防寒ケースの組み合わせで撮影。今回の荒枝さんの踊りはいつもよりスピードが速く、7Dの高速連写が大活躍してくれた。
しかし、やはり照明は暗くISO感度はISO6400を多用し、最も暗いシーンでは最高感度のISO12800まで使用する事になった。
それに対し、本番の撮影に使用するEOS Kiss Fの最高感度はISO1600でしかない。7Dとは実に3段分の開きがある。これでは普通に撮影したら充分なシャッタースピードを稼ぐ事は難しい。
悩んだ末、後処理で露出アンダーを補正する前提で、露出は犠牲にしてシャッタースピードを優先して撮る事に決める。シャッタースピード優先AEでは絞りを絞り込んでしまう恐れがあるので、少しでも明るく撮る為に、マニュアル露出で絞りは開放、シャッタースピードは1/100に固定する事にした。
今回の作品はいつもより踊りのスピードが速いので、本当はもう少しシャッタースピードを速くしたい所だが、それではあまりに露出がアンダーになり過ぎて後処理しても仕上がりが汚くなってしまう恐れが高いのでギリギリの妥協点を探っての選択だ。


ところが、ゲネプロ撮影前、本番用カメラもテストしておこうとした時、もうひとつの問題が発生した。水中ハウジングはギアを介してズームレンズのズームリングを操作する事が可能なのだが、そのギアを駆動するパーツが壊れてズームリングを操作出来なくなってしまったのだ。
壊れたパーツを確認すると、プラスチック製のギアに金属製の軸がはめ込まれているだけでネジ止め等はされておらず、プラスチック製のギアの軸受けの部分が削れて軸が空転してしまう様になっていた。エポックワールド製水中ハウジングはデジタル一眼レフ用水中ハウジングとしては異例に安価だった為に、思い切って防音ケース代わりにしようとKiss F本体と一緒に購入に踏み切ったのだが、たった3回目の撮影で壊れてしまうとは余りにショックだった。
安価とは言え、他の部分の作りに特に問題は感じず、とてもよく出来ているし、防音効果も高く満足していただけに該当部品は是非改善して欲しいと思う。
これで、レンズは固定焦点で撮影するしかなくなってしまった。こんな事なら明るい単焦点レンズを持って来ていれば、もっと露出的に楽だったのにと後悔したが後の祭り。ゲネプロ後のリハーサル等を利用して、ベストな焦点距離を探り38mm付近に決定した。
ただし、ズームで画角を調整出来ない為、ステージの奥の方と手前とでは、縦位置と横位置を切り替えて撮影するという前提での設定だ。Kiss Fは小型軽量の為、水中ハウジングもデジタル一眼用としてはかなり小型軽量に作られているが、それでもカメラ、レンズを水中ハウジングにセットした時の総重量は4Kgを越える。
その為、過去2回のAryukueでの撮影に使用した時は、三脚に立てて撮影したし、今回もそのつもりだった。しかし、Aryukueの撮影の時はズームが使えた事もあり基本的には横位置だけで撮影したのだが、今回は横位置と縦位置を切り替えなければならない。
ゲネプロ後の時間を使って、Kiss F+水中ハウジングを三脚に立て、横位置と縦位置を切り替える練習をしてみたが、流石に大きく重い為にとてもスムーズにはいかない。踊りのテンポが速いのでスピーディに横位置縦位置を切り替える必要があるが、とても追いつかないだろうと判断し、結局手持ちで撮影する事にした。
流石に翌日腕と肩が筋肉痛にはなったがなんとか撮影はうまくいき、Kiss Fと水中ハウジングを使いこなせるという自信にもなった。
今は7Dと同等の高感度特性を持つEOS Kiss X4も発売されていて、Kiss Fとほぼ同じサイズなので、水中ハウジングが流用出来ないか?と淡い期待もしているが、おそらくそれは無理だし、まだたった3回しか使用していないのに水中ハウジング毎買い替えるのも辛いので、当分はKiss Fで使っていくしかない事を考えると、明るい単焦点レンズで高感度の弱さをカバーするというのが現実的なので、固定焦点での撮影を余儀なくされた今回の撮影は良い経験になったと思う。


荒枝さんの作品は、これまで何回か書いた様に今までより踊りのスピードが速くなっているが、単にそれだけでなく、従来の作品とは異なった方向性を目指した意欲作だと思う。ある意味、荒枝さん本来の強み、魅力といった物を封印し、それに頼らず正攻法の踊りに挑戦したとも言えるし、正攻法の踊りを指向しながら、その中で荒枝さんらしい表現、荒枝さんらしい個性をどれだけ出せるかという挑戦であったのかも知れないと思う。
公演後のトークショーでは、今までの作品と異なり荒枝さんが楽しそうに踊っているのが新鮮だったという観客の声も聞かれたし、撮影した写真を見ても荒枝さんが非常に楽しそうな表情をしている様に見える。そういう意味では、今回の作品では荒枝さんの新たな魅力が見れたと思うし、新たな挑戦は成功したと言えると思う。
ただ、そこに今回は封印されていた様にも感じた本来の荒枝さんの魅力がプラスされていたらもっと良かったのではないかと思う。もっとも、全ての作品が同じである必要はないし、様々な方向性に挑んで表現力の幅を広げていき、また再び従来の方向性に近い作品を手がけた時に、その経験が生かされるのではないかと思うので、今後の荒枝さんの作品がどの様に変化して、どの様な方向に向かっていくのか楽しみにしていたいと思う。



荒枝志津 official site:http://sewingmachine.jp/
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by ko1kubota
| 2010-07-31 23:50
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